「似て否なるもの」
なあ、ヒル魔。
まじめな顔をして、ムサシが声をかけてきた。だが、その目が変に底光りしている。
こういうときのムサシは要注意だ。
案の定、
「独り素股って知ってるか?」
と聞いてきた。
「知らねぇが、やんねーぞ」
ヒル魔は即答する。
しかし、実のところこれでムサシがひきさがった例はない。
「知らねぇのに断んのか」
「大体想像つくだろうがよ、その字面」
「いいじゃねぇか、きっと気持ちいいぞ。手伝ってやるから」
「イラネ。てか、なんで俺がオナニーショーやってやんなきゃなんねぇんだ」
「恋人だから」
「……」
さらり、と返された台詞に不覚にも絶句した。
こういうタイミングで言うから、この男は性質が悪いというのだ。
その隙に、ムサシはヒル魔の身体を抱き寄せる。
ヒル魔も抵抗するが、腕力ではかなわない。
「く……っ、そ……!」
するりと腰と背筋をなで上げられ、思わず力が抜けた。
すかさずムサシはきつく抱きしめ、首筋に顔をうずめる。
お前のそういう姿が見たい。頼むから。
耳元で息を吹き込むように、がらりとした低い声で囁かれれば、険しく顔をしかめながらも、もうつっぱねることはできないヒル魔だった。
広いほうがよかろう、ということで、ふたりはヒル魔のマンションのバスルームに居た。
ヒル魔は素っ裸だが、ムサシは上下着衣のまま。そのほうが盛り上がるからだ。
無論ヒル魔は渋面を作ったが、今更ひるんだりはしない。
タイルを暖めるために湯を流し、ヒル魔を壁際に座らせる。
「手、使っちまわないようにな」
そう言って、塗らしたタオルでヒル魔の両手を後ろ手で縛る。
念のいったことで、と皮肉が聞こえたが、無視した。
そうしてヒル魔の前へ回り、膝立ちになる。
「ムリじゃねぇ?」とヒル魔。
だが、ムサシはあっさりそれも無視し、準備しておいた透明なボトルを手に取った。
ボトルのキャップを外し、中身をヒル魔の脚と、その中心のものへ惜しげもなくふり掛ける。
それは、ごくふつうのオイルタイプのボディローション。だが、濡れてテラテラとオレンジがかった光に照らされたヒル魔のそこは淫猥だった。
その光景に、ムサシはそっと生唾を飲み込む。
垂れる液体が冷たいのか、ヒル魔は小さく身体をすくませる。
もうヒル魔は手を使えないので、かわりにムサシがヒル魔のものをしごいてやる。
ローションのおかげでよくすべる。
ヒル魔は眉根を寄せてゆっくりと仰のいた。
ああ……と息遣いのような、かすかな声が聞こえる。
芯を持って勃ちあがったのを見て手を離す。それからヒル魔の左足の膝あたりを捉え、ぐっと床へ押し付けた。
そうしておいて、ヒル魔の中心で屹立しているものに手を掛ける。
ヒル魔が、それをじっと見ている。
が、今度はそれをやや前の方へ倒しただけ。
「……ヒル魔……」
促すようにそっと呟くと、それでも少しの逡巡の後、ヒル魔はゆっくりと体勢を変えた。
女性がよくするような、左に腰を落とし、脚を揃えて右に流す、左横座りの格好。
太ももの間には、自分自身のものを挟みこんでいる。それが飛び出してしまわぬように、ムサシが右の掌で押えている。
「もっと脚を腹のほうへひきつけるんだ。……そう」
言われるまま、脚をできるだけ自分の身体に密着させる。
その拍子に自身がこすれたのか、ヒル魔の唇から、あ……と声が漏れる。
それを聞きつけたムサシは、にやりと笑みを浮かべる。
「気持ちいいだろ? 動けよ」
それでもヒル魔は腰をもじもじとさせるだけで、なかなか積極的に動こうとしない。
「しょうがないな……」
ムサシはひとりごとのように呟くと、やおらヒル魔の右足首をつかみ、上下に動かし始めた。
「あっ! あっ! や……っ!」
途端、ヒル魔の嬌声が浴室内に響き渡る。
くちゅ、くちゅ、と両足がこすれあい、さらにその間に挟んだものとこすれあって、オイルと、それからヒル魔自身が漏らしたもので音を立てる。
「あ! あん! あっ!」
ムサシが手を離すと、ヒル魔は自分で脚を動かし始めた。
屹立を、己の両足の太ももとふくらはぎで刺激する。
ヒル魔のものが両足の間にきちんと挟みこまれているのを確認して、ムサシは右手を外した。
ヒル魔は腰を動かし、脚を動かし、さらには上体を揺らし始める。体位を変えるたびに自身がこすれて快感が生まれているのだろう。
「んっ、んっ、んっ」
快楽を追って、とりつかれたように裸体をくねらせるヒル魔の姿はあまりにも妖しく、淫らだ。
ムサシが自分を凝視していることを、もちろんヒル魔は分かっているはずだ。
だからこそ、蠢く身体のそこかしこに、男を誘う媚びがにじむ。
ムサシ自身も痛いほど張り詰めているが、今はこのショーを見逃すわけにはいかない。
「もう止まらねぇ……な?」
ムサシが笑いかけると、ヒル魔は顔を伏せ、目をそらす。
だがその表情とは裏腹に、腰と脚の動きは速さを増す。
ムサシは含み笑いを漏らすと、右手を床について上体をヒル魔の脚の上へ伸ばし、そこもすっかり立ち上がっている胸の飾りを舌先でくすぐり始めた。そして、左手をヒル魔の尻のほうへ伸ばし、足の付け根からのぞく両方の実をやわやわともんでやる。
「あっ! あんっ! あっ、は……っ!」
ヒル魔の嬌声がひときわ高くなった。よがり声以外の何ものでもない、甘い叫び。
「声、すげぇ響いてるぜ。風呂場だし。外に聞こえてるかもな」
ヒル魔はきゅっと目を閉じてかぶりを振る。
「んっ、んっ、あ……っ、あっ!」
声を殺そうとしたのだろうが、すぐに元に戻ってしまう。
口をだらしなく開き、荒く息をつき、眉根を寄せる。
胸の飾りをとがらせ、白い肌をほんのりと紅く染めて、両の足の指をめいっぱい反り返らせている。
ヒル魔の全身が、性の愉悦を表現している。
「あ……は……っ」
ムサシにも覚えのあるぞくぞくとした射精感が、ヒル魔を追い上げつつあるのだ。
ムサシは蟻の門渡りに指をあてがうと、リズミカルに押し上げ、前立腺を刺激し始めた。
そこは十分に開発されているヒル魔のこと。ほぼ間を置かず、のけぞって快感を訴え始める。
「あっ、そんなこと……されたら、スグ……イっちまう……っ」
「イケよ……」
だがヒル魔は大きく首を横に振る。
「やっ、あっ……ムサシ……ムサシィ……っ」
そうしてすがるようにムサシを見つめ、舌を突き出す
ああ……声が出るからか。
そうと察したムサシが、突き出された舌に、舌を絡める。
ヒル魔は歯がぶつかるほどの勢いで、唇に吸い付いてきた。
次の瞬間。
「んっ! んん〜っ!!」
くぐもった叫び声を上げながら、ヒル魔は達した。
本当に限界が近かったようだ。
カクッ、カクッと腰を突き上げながら、先端から白濁したものを吹き上がらせている。
「あ……は、ふ……」
しばらく痙攣した後、ヒル魔はやっと唇を離した。そのまま、後ろのタイルの壁へ寄りかかる。
ヒル魔の腹は、自らの放ったもので汚れていた。
未だおさまらぬ荒い息遣い。それにあわせて上下する胸。そこに、勃ちあがり色づいた、二つの飾り。濡れた唇に、逐情に弛緩した顔。締まった腹から太ももへ、どろりと垂れる白い液体。
「ほんとにいやらしーな、お前……」
ぼそり、とムサシが呟けば、ヒル魔はかすかに唇を吊り上げて、見せ付けるように己の唇をゆっくりと舐めた。
了
略してスマ○ナ(ホントです)。ウチのサイトの裏でフツーに素股はないよなぁ……と思っていましたら、イイモンみつけてしまいました(笑)
切れちゃって痛いのvだから素股でイカせてあげるvv(誰)って言ってたのに結局入れられちゃう展開でもいいかなと思わないでもなかったんですが、痛いのはヤですもんね。