「ちょっ、冗談だろ! 止めろっ」
本気で怒鳴るが、ムサシの手は止まらない。
ヒル魔がつい先刻吐き出したばかりの白い液体を指にまとわりつかせたまま、先端の唇に似た穴のあたりに指先をこすりつける。
ヒル魔は、声もなく悶絶した。
「……お前、敏感だもんな」
ムサシはゆっくりと口元を歪めた。


『鬼畜』


手足の拘束は、初めてではない。
「お前、気持ちよすぎて暴れるから」
というムサシの言葉も、あながち誇張ではない。
ここのところ急に腕をあげてきたムサシは、ヒル魔をいいように翻弄する。
だから、今日もベッドの脚に、両手、両足をつなぐ事を、積極的にではないが、黙認した。
今日もさんざん焦らされ、声がかれるほど喘がされた後、一気に頂点まで持っていかれた。
そこまでは、いつものパターン。
だが。
今日にかぎって、そこで終わらなかった。
ムサシとて同じ男だ。
吐き出した直後に敏感になっていることなど、百も承知。
しかも常々ヒル魔の感度の良さを揶揄しているくせに。
イッたばかりのそれを、ムサシは離さなかった。
二つの果実をひとつにして掌に納め、やわらかく揉みしだく。そうしておいて、とりわけ敏感な、先端の部分を撫ぜ回す。
ぐっ、と声をこらえたのは一瞬だけだった。
次の瞬間には、ヒル魔は拒絶の言葉を並べ立てた。
ムサシは取り合わない。
さらに、皮を根元のほうへ寄せ、薄くなってさらに感度を増したところを、O字にした指を使って上下左右に刺激する。
「あっ! ああっ! あっ! あっ!」
くすぐったいのを通り越して、気持ち悪い。
全身が総毛立つ。
「ああっ、うっ、も……無理! よせ……っ、嫌……っ!」
ムサシは跳ね上がろうとするヒル魔の腰に体重をかけて押さえ込む。
そうしておいて、手の動きは少しも止まない。
ヒル魔自身が、今まで以上に熱を帯びてくる。きっと赤く充血しているに違いない。
「ヤダヤダ、ヤ……っ!」
膝が、太ももが勝手に震える。
両手足を拘束されていなければ、ためらいなく振り払うのに。
左右に身体をよじるが、ムサシの拘束は頑固だ。
せつなくてたまらない。触れないでほしい。
なのに……奥底にある、この感覚はなんだろう……。
唐突に尿意がわきあがる。
ヒル魔はのけぞりながら訴える。
「ム、サシ! ……駄目だ、って……! 出る! 出ちまう!」
「出せよ」
ムサシは静かに応じる。
「馬鹿っ、違う! あ……っ、しょんべん……の方、だっ」
それを聞いても、ムサシは手を止めなかった。
「なんでも、出せばいい」
ヒル魔は頭を大きく左右に振る。
ムサシはわざと、絞るように強くなぞりあげる。
「ホントに出る、って! 離せっ! 離せよっ」
ぶるぶると腰が震える。我慢できない。
「嫌だ! 嫌、嫌っ! い、あああっ」
切羽詰った叫びが、悲痛な響きを帯びる。
「あ……も、駄目……っ、出る……!」
ふっ、と緊張が緩んだ。そして。
「あ……あ……」
尿道から漏れていく感覚。
腹を滑り落ちる暖かい感触。
放出する音。
それがシーツにこぼれてたてる、鈍く、軽い音。
ムサシはすべて見ているに違いない。
ヒル魔の目じりから、涙がこぼれおちた。
単に生理的なものか、それとも羞恥ゆえか、あるいは惨めさからか。
どれもあるように思えた。
普通の部屋の、しかもベッドの上で、人の目の前で。
くくっ、とムサシが笑う。
ヒル魔は身体をこわばらせる。
「とうとう、出しちまったな」
お前が止めなかったからだ、とか、嫌だって言ったのに、とかいう言葉は、なぜかどれも口をついて出なかった。
ヒル魔はただ、顔を赤く染め、唇をかむ。
と、ムサシが手の動きを再開した。しかも今までよりずっと速い。
「! ああっ!」
途端、ヒル魔は背をしならせる。
「嫌あっ! もう、許……許して……っ!」
無意識に懇願する。
敏感すぎて辛い。身体が勝手に逃げをうつ。
なのに何故……。
自分のそこが、立ち上がっているのはわかっている。
いつものように。否、もしかしたらいつも以上に硬く。
「うう……っ、あ、う……うう……っ!」
視界がぼやける。奥歯を噛みしめる。
嫌悪感と、快感。
相反する二つの感覚が、ヒル魔をめちゃくちゃにする。
「ひっ……い、嫌っ! あっ、ヘンに、な……っ」
ヒル魔が手足をバタつかせるたび、鎖がガチャガチャと鳴る。
ひっきりなしなので、うるさいぐらいだ。
ヒル魔自身も、ムサシの手のうちで震えている。
だが、ムサシの責めは容赦ない。
急所に対するとは思えないほどの強さと速さでしごきたてる。
ヒル魔はのけぞったまま、うわごとのように、変になる、変になる、と繰り返す。
こんなに辛いのに、イキそうになっているのがわかる。
やがて壊れたように腰が上下に動き、先端から白濁した液を搾り出した。
「……あ……っ」
かすれた、小さな叫び。
ムサシが見ると、ヒル魔は硬直したまま、意識を失っていた。


意識を取り戻したヒル魔は、まず手かせと足かせが外されていることを確認する。
シーツも上掛けも、新しいものになっているようだ。
身体はまるで言うことをきかず、それだけを確認するのが一苦労だ。
そこへムサシが入ってきた。
ヒル魔の傍ら、ベッドへ腰掛ける。
「気がついたか」
ヒル魔はそれには応えず、ただにらみつける。
だが、ムサシは涼しい顔で、微笑すら浮かべている。
「なんだ。漏らしちまうほど、気持ちよかったんだろ?」
「!」
カア、とまた顔に血が上る。
ムサシは笑みを大きくし、ヒル魔の顔を覗き込む。
「失禁したし、失神もしたし。それだけ良かったってことだろ? ん?」
「……気持ち悪かった」
ヒル魔は険しく眉根を寄せて応える。
ムサシはまだニヤニヤと笑っている。
「もう二度としたくねぇ。だりぃし」
「でもお前、射精してたじゃねぇか。気持ちよくなかったのか?」
ムサシはしつこくくいさがる。
この時点で、気づいてもおかしくはなかったのだが。
「よくなかった」
ヒル魔は意地になって繰り返す。
「そうか。射精したのに、気持ちよくなかったか」
「……」
「じゃあお前、もう出すのはナシな」
「っ?!」
ヒル魔は目を見開く。
「これからは、射精禁止ってコトだ」
「な……っ」
ヒル魔が口を開くより早く、ムサシはあるものを掲げてみせる。
「これ、なんだかわかるか?」
「……?」
「貞操帯だ」
「!」
「でも……」
ムサシはそれを床に放り捨て、ニコリと微笑う。
「お前はこんなもの、必要ないよな? 射精するのがイヤなんだから」
イヤじゃないと言えば、ムサシはためらいなく貞操帯をヒル魔につけるだろう。
ムサシは、無言のままベッドに横たわるヒル魔の頬や首筋を、手で愛撫する。
「オナニーはしてもいい。でも、出すのは駄目だ」
ムサシはヒル魔のほうへ顔をよせ、囁くように続ける。
「どれぐらい我慢できるかな」
「……」
「イくときは、俺が出してやるよ。この……指で」
そういいながら、ヒル魔の薄い唇を指でなぞる。
この……指で。
ムサシの指が動いて、ヒル魔の唇をかすかに開かせる。
「溜まって……溜まりに溜まったものを……搾り出してやる」
間近にムサシの笑み。そして、底光りする目。
ムサシも興奮している。
調教されようとしているのは分かっている。
ムサシの指の動きはますますゆっくりになるのに、ヒル魔の息は次第に浅くなる。
「……最後の一滴まで、残らず」
その指に噛み付くこともできたが、ヒル魔はそうせず。
舌を突き出し、ムサシの指にゆっくりとからみつけた。
うっとりと目を細めながら。


チョクゴ責めー! イエー!(爆)
こんな好き勝手されるヒル魔さんはヒル魔さんじゃないやい、という気もしますが;

ムサヒルデーにこんなのUPしてるのウチだけだろうなぁ……。
きっと他のサイト様は、もっとほのぼのラブラブに違いない。
しかも続きます、コレ。

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