『オトナの玩具』
ふたりきりの室内には、ずいぶん長い間、沈黙とひややかな空気だけがあった。
正確には、ひややかな空気をかもし出しているのは一名だけで、もうひとりは必死にそれと戦っている。
ここで折れたら負けだ、とムサシは歯を食いしばる。
それを、ヒル魔が絶対零度のまなざしで見つめている。
頑固さは親父譲りだ。ヒル魔も相当強情だが、頑固に関してはいささか自信がある。
と、ヒル魔はそんなムサシの内心を感じ取ったのか、かすかにあきらめ気味の溜め息をついた。
ヒル魔は最初、ムサシが意を決したように取り出したものを呆然と見つめた。
おそらく、ヒル魔がただの中学生であれば、ソレを見ただけで、その器具の正体を見抜くことはできないだろう。
女性のためのはりかたは歴史も古く、種類も形状も素材も実に様々だが、男性が使うためのソレは驚くほど少ない。それだけマイナーというわけだ。だが、幸か不幸か、実体験こそ少ないものの、ヒル魔の性に関する知識は充分整っていた。
だから、白くて複雑な形状のソレが、男性が(原則的には)ひとりで楽しむための道具だということもすぐにわかった。もっともヒル魔とて、実物を間近に見るのは初めてである。
ちなみに「はりかた」は建て前上「民芸品」という扱いになっている。
閑話休題。
ヒル魔は、今度は大仰な溜め息をもうひとつついて、尊大な態度で手を差し出した。
しかしムサシはその掌へそれをのせることはせず、うっそりと立ち上がった。
「横になれよ。俺がいれてやるから」
カッ、と音のしそうな勢いでヒル魔の白い頬に血が上る。
「いらねーよ!」
「オマエ、自分で入れたいのか?」
「ザケんな! んなワケあるか……」
「じゃあ、俺が入れる」
ヒル魔は悔しそうに唇をかんだが、不承不承、ベッドに横たわった。
ほんとうは、ヒル魔自身の手で入れられるのを見るのも一興だとムサシは思っていたのだが、それは口に出さない。
ムサシはヒル魔の上に覆いかぶさり、とりあえず器具は脇へ置いておく。
細い金髪をかき上げ、額に掌をおいて唇を寄せると、ヒル魔はおとなしく応えてきた。
ムサシの背中に手を回し、肩甲骨やわき腹のあたりをなでている。
ムサシは口付ける場所を、唇から耳、耳から首筋、首筋から鎖骨へと移した。
そうしている間にもヒル魔の手はムサシの身体を這い、申し訳程度の胸の飾りをもてあそんでいる。さらに太ももでムサシの腰の辺りを挟みつけるようにしていた。
……?
いつもよりずいぶん積極的な態度をふと疑問に思ったムサシだが、次の瞬間その意図に気づいて、身体を離した。
チラリとヒル魔の顔を見やると、舌打ちしそうな表情で視線をそらせる。
「姑息だぞ、お前。このまま本番へなだれこませようってハラだろうが、そうはいくか」
苦笑に近い笑みを浮かべ、ムサシはヒル魔をうつぶせにする。
ケッ、と小さくつぶやく声が聞こえた。
笑いをかみ殺しながらムサシはヒル魔の背中に唇を落とす。
背骨にそって舌先を滑らせると、なだらかな線がかすかに震えた。
双丘を掴んで、われ始めるあたりを舌でくすぐると、ヒル魔の身体が少しこわばった。むろん、快感ゆえであることは知っている。
それから、さらに奥でひっそりとすぼまっているところへ舌を伸ばす。わずかに盛り上がっている襞のところを、ほぐすように舌を使う。
ヒル魔の息遣いが、顔をうずめているムサシにも聞こえる程度になるころ、ヒル魔のそこはつつましく口を開き、待ちかねるようにひくついていた。
ムサシが舌を差し入れ、中で躍らせると、とうとうヒル魔はこらえきれずに声を上げた。
立ち上がったものの先端から、粘るものが糸を引いてシーツに垂れ、染みを作っている。
これだけ感じてれば、もう大丈夫だろう。
ムサシは傍らのそれを取り上げ、付属でついてきたローションをたっぷりと塗りつけた。
「ヒル魔、横向きに寝てくれ」
ヒル魔は無言で左手を下に横たわる。
「少し脚を曲げて……そう。……いいか、入れるぞ」
ローションの助けもあるだろう、それはやけにすんなりとヒル魔の中へ吸い込まれた。
ムサシは丸い突起が会陰部にあたるよう、調整する。
「……どうだ? いいか?」
ヒル魔は、はっきりと首を横に振る。
「痛いか?」
これにも、首を振る。
こういうところで小さな嘘をつく男ではないから、本当なのだろう。
ただ、異物が進入している、という感覚らしい。
器具を使ったのは初めてだが、もう前立腺は開発されているのだから、気持ちよくならないはずはない。
そう判断したムサシは、しばらく待つことにした。
ムサシはヒル魔の背中を抱えるように横になる。
ヒル魔が首だけふりかえってきた。
「なあ、このまんまか?」
「……不満か?」
ムサシが真顔で問い返すと、困ったような表情を浮かべた。
可愛い。
ムサシは上半身を起こすと、相手の薄い唇に吸いついた。
舌に舌をからめ、しごきあう。
薄く目を開けると、ヒル魔は眉根を寄せ、しっかりと目を閉じていた。
「っ!」
その目がぱちりと見開かれる。
唐突にムサシがヒル魔の濡れそぼった先端をつまんだのだ。
「ん……」
キスは続いている。鼻から息を逃がしながら、切なげな顔を見せる。
人差し指で軽く尿道を刺激すると、ぴく、ぴく、と小さく痙攣した。
少しの間そうしていたが、至近距離にあるヒル魔の瞳が、焦点を結ばなくなっているのに気づいた。
ムサシは唇と手を離して、ゆっくりと起き上がった。
「あ」
ヒル魔の腕がムサシの身体を追うように少し上がり、力なく落ちた。
じっと見つめるムサシから、ヒル魔は顔を背ける。
その身体が、硬直していた。全身に力が入っているのが見て取れる。きれいな足の指が、きゅっと折りたたまれていた。
「ヒル魔……」
そっと呼ぶが、応えは無い。
ムサシはヒル魔の正面へまわると、顔を覗き込んだ。
ヒル魔はぎょっとした表情を浮かべ、にらみつけようとしたが、それはほんの一瞬だけで、次の瞬間には歯を食いしばって顎をそらせた。
「ヒル魔。ちゃんとツボにあたってるか?」
ヒル魔は、キッと視線をあげるが、すぐに目を伏せる。
「言う、な……」
と、言われると言いたくなる。
ムサシに問われれば、意識は自然、後ろに集中してしまう。集中すれば、快楽はその分増す。それを避けたいがゆえだと、わかっている。だから、余計に。
「教えてくれよ。どんなだ? 中でどんな風になってるんだ?」
「知り、たきゃ……テ……メーですれば……い……だろ」
「んじゃ、後学のために、どうなってるか教えてくれ」
「てめ……」
「あんまり前立腺に力いれちゃダメなんだそうだぞ?」
「いれてな……」
なぜか律儀に返事がある。
「あの形状がな、前立腺の間に食い込むようになってるから、力を入れる必要はないんだそうだ」
「い、れてない……って……」
ヒル魔の指がシーツをつかむ。
「後ろに力を入れたり抜いたりするんだそうだ」
「ん……、るせ」
「そういわずにやってみろよ」
「や……っ」
「肛門に力を入れると、ヘッドが上にあがって前立腺を刺激するんだそうだ。力を抜くと、今度は下を刺激して、それはそれでイイらしいんだが。……どうだ?」
どういう意味なのか、ヒル魔は黙ったまま、首を大きく横に振った。
髪が枕にあたって、パサパサと音を立てる。
もう返事する余裕はなさそうだな。
ムサシに見られているのがいやなのか、ヒル魔はきつく目を閉じている。
半開きの唇が、ときどき動き、中で舌が浮き上がっているのが見えたが、ヒル魔はなおも無言のまま身悶えている。
唇の動きを注意深く見れば、イイ、とイキそう、と読める。
知っちゃいるが、強情だな。
ヒル魔の全身が震え始めていた。
あ、これはもうイクな。
見て取ったムサシは、ベッドから少し離れる。
気づいたヒル魔は、おそらく罵声を浴びせようと口を開いたのだろうが、出てきたのは嬌声だった。
「は……あっ、ああ、あ……!」
一度声を漏らしたら、歯止めが利かなくなったのだろう、ヒル魔は続けざまに叫んだ。
「ああ、も、ダメ! あ……イク、イクっ……!」
脚が大きく痙攣している。
「い……あ……んっ、んん! あああ、イクぅ……っ」
ひときわ大きく身体をくねらせ、ヒル魔は硬直した。
喉から、細く嬌声を漏らしながら、長い間固まっていた。
やがて、ゆっくりと四肢を伸ばす。
その拍子に中の器具がいいところにあたったのか、ビク、と右脚が痙攣した。
大きな呼吸を繰り返す。
「……よかったみたいだな」
というムサシの言葉を、ヒル魔は無視する。視線もよこさない。そして、おそらくかなり無理をして出したのだろう、冷静な声で「抜くぞ」と宣言した。
しかしムサシは、ヒル魔が自らの後ろへ手を伸ばそうとするのを、「いや」とさえぎった。
「なんでだよ! もう、いいだろが!」
半身を起こしながら叫ぶ相手の肩をつかんで、シーツに沈める。
「なんどでもイケるそうだ。それを見たい」
「て……めぇ」
ヒル魔が低く唸る。
やばい。これは本気で怒っている。
背中に冷や汗を感じるが、ここまできたらもう、毒を食らわば皿まで、の心境だ。
「頼む、ヒル魔。俺のわがままだ。わかってる」
「……」
「けどな。これを買った時の俺がどんなだったかわかるか?」
「んなもん、わかりたくもねぇよ」
だろうな、とムサシは微笑う。
肩をつかんだ手を離し、ヒル魔の頭の両脇に肘をつく。
「注文するときから……いや、これを見つけたときから、勃ちっぱなし。お前の姿とか、声とか、表情とかを想像してな」
「こ、の……変態! 糞変態ジジイ!」
ヒル魔が口汚くののしるが、ふと見れば、目の下をうっすらと赤く染めている。まんざらでもないらしい。
ムサシは軽く笑い、ヒル魔の耳元に唇を寄せる。
「ヒル魔……お前の事で頭がいっぱいだ」
耳朶を甘噛みし、耳の中に息を吹き込むようにして、低くささやいた。
「見てぇんだ、おまえを」
ヒル魔が、かすかにあえいだ。
手探りで胸の突起をつまむと、ヒル魔の身体がはねあがった。
「頼む、ヒル魔……」
そう言いながら胸への愛撫を本格的なものにする。
親指と中指で乳首をつまみ上げ、人差し指の腹で先端をこすり上げる。ゆっくり円を描くようにすべらせたり、すばやく上下にさすったり。
ムサシは身体を起こしてヒル魔の様子をうかがった。
「……」
ヒル魔から拒絶の返事はない。どころか、ムサシが胸に与える感覚に酔いしれているように見える。
ムサシは手を離してずりずりと後ろへいざると、ヒル魔の膝をかかえて持ち上げた。
「! ……はなせっ」
まるで挿入するような体勢だが、むろんヒル魔の後庭にはすでに器具が埋まっている。
ムサシはヒル魔の腰を膝にのせ、相手の膝の裏に手を添えて、開脚させた。
「や、いやだ……」
両腕に力が入らないのか、ヒル魔は身体を起こそうともがいては、くず折れるということを繰り返している。
ヒル魔の秘処が丸見えだった。
ムサシが見ていると、埋まった白いものが、手も触れられていないのに、ひくひくと動いた。
ヒル魔の内部がその動きを生んでいるのだ。ムサシは思わず生唾を飲む。
後ろが収縮し、弛緩する。その間隔が、徐々に詰まってくる。
「う……うぅ……ん」
ヒル魔の前からは大量の透明な液があふれ、下腹を汚している。
ムサシが両手を離すと、ヒル魔の両足は重力にしたがって下に落ちたが、腰はあいかわらずムサシの膝の上なので、自然、後ろを締め付ける体勢になった。
「ひ、あっ」
ビクッ、と身体が跳ねる。
ムサシは空いた手で、押し込まれているものをつついてみる。
「ああ、あっ」
自分のコントロールをはずれた刺激に、ヒル魔の痩身がまた跳ね上がった。
ヒル魔がブリッジするように腰をあげる。少しして、また落とす。その拍子に、たち上がっているものがおのれの下腹とぶつかり、飛沫が散る。
ムサシの太ももとヒル魔の腰がぶつかる、しめった音がいくども響いた。ヒル魔はそのたび、快楽の叫びを漏らす。
「あっ、あっ、ひっ、いっ、いいっ」
ムサシのひざをまたぐ恰好になっているので、ムサシの目の前で、ヒル魔のソコが上がったり下がったりしている。
「ヒル魔。いい眺めだぞ」
「やっ、言う、な」
ぎり、とヒル魔の手がシーツを絞る。それでも腰の動きは止まらない。
「大股開いて、空腰使ってるお前を見られるなんてな」
そう言いながら、押し込まれているものを指先ではじく。
「あっ……やだ……っ、ムサシ、やめ……っ」
「こんなに感じてるのにやめて欲しいのか?」
ムサシはヒル魔の前でふるえているものに指をからめた。おびただしくあふれかえらせているものを指先ですくうようにする。
「ああっ……また、イっ……イ、ク……っ、あ、あっ!」
ヒル魔はのけぞり、腰を高くあげたまま、硬直した。
顎をのけぞらせ、つま先だって、ほんとうにブリッジでもしているような恰好で、ヒル魔はずいぶん長い間固まっていた。
先端から大量の液をぼたぼたと垂らしながら。
やっと、ゆるゆると力なく横たわる。目は閉じられたまま、荒く息をついている。
いいイキっぷりだが、体力がもたねぇかもしれねぇな……。
ムサシはペットボトルの水をふくみ、ヒル魔に口移しで流し込んだ。
ヒル魔も喉が渇いていたのだろう、おとなしく嚥下し、もっと、とねだるように口を開いて舌を突き出す。
ムサシは要求された分だけ、水を飲ませた。
やっと満足したヒル魔が、唇を求めてくる。
「ヒル魔」
呼べば、ものうげに視線を向けてくる。
「疲れたか?」
「……ムサシ」
「ん?」
「……欲しい」
なにが、とは言わなかったが、水のことではないだろう。
「……。まだ、満足してないのか?」
「ちが……」
ヒル魔は否定しかけたが、ふっ、と口をとざしてムサシをみつめる。
そして、ムサシの股間に手をのばしてきた。
そこは下腹にくっつきそうなほど急な角度で反り返っている。さんざんヒル魔の痴態を目の当たりにしたのだから、興奮して当然だ。
ムサシよりはるかに細い指が、器用にからみつく。ムサシの手も見かけはごついが、手先は意外と器用だ。それでも、かなわないと思うときはある。ちょうど、今のように。
ムサシの息があがってきたのを見て、ヒル魔は唇を落としてきた。
ムサシはそれをおしとどめる。
「?」
「横になるから、まがたってくれ」
つまり、69だ。もちろん初めてではない。
ヒル魔はすぐに了解して、あおむけになったムサシの顔をまたぐ。
そうして、ムサシの股間に顔をうずめた。
ねっとりからみつく舌の感触に陶然としながら、ムサシは、埋め込まれたものでひろがっている穴のふちへ、舌をのばした。
「ひあっ」
ヒル魔が甘い悲鳴をあげる。
「……休むなよー、ヒル魔」
「あ……く、そ……っ」
ムサシはかすかに含み笑いをして、また舌をそよがせた。
ヒル魔がくわえたまま、くぐもった嬌声をあげている。
「あ、んっ、ん……あ、イ……タ……」
……。
ナニ? 痛い!?
ムサシは思わず頭をもちあげて、そこを覗き込む。
ローションが切れたのかも、と思い、ゆっくりと器具を引き抜いた。
「んんん……っ」
ヒル魔が身体を震わせながら唸る。
ぽかりと口をあけ、物欲しげにひくついているそこを見て、ムサシは生唾をのみこんだ。
すげぇな……。
ローションを足してまた入れてやるつもりだったが、すぐ目の前の光景に理性が飛んだ。
半身を起こし、ヒル魔の腰を抱えあげる。
ヒル魔が不審そうに振り返ったが、それに言葉を返す余裕も無く、ムサシ自身を突き入れた。
「あああっ」
いきなりのことに、ヒル魔が叫ぶ。
「あっ……はあっ、はっ」
衝撃を逃がそうと大きくあえぐ。
「すまん、限界だ」
ムサシはヒル魔を抱きすくめながら、そうつぶやいた。
「入れる前……に、言いやが……れ」
さっきまでのなごりなのか、ヒル魔の内部がムサシを容赦なくしめつけてくる。
「く……そんなに、せっつくな、ヒル魔」
ヒル魔がなにか言いかけたが、ムサシがヒル魔の前を思い切りしごきあげたせいで、悲鳴に変わった。
「あっ! あ……は! ああっ、あ……っ」
ヒル魔が全身で愉悦を訴える。
目じりから、涙。
こんなに泣き叫んだら、明日は声が嗄れているかもしれない。
そう思いながらも、はげしく腰を動かす。
声が更に高くなり、まるで踊るように裸身が蠢いた。
声は時折呼吸で途切れるだけ。あとは、ずっと叫んでいる。
うまく呼吸ができないらしく、空気を吸い込むとき、しゃくりあげるような声をたてる。
「ああっ、イイっ、イ、イ……っ」
ヒル魔自身も腰を振っていた。
ムサシは腰を使いながら、ヒル魔のものをこすり、その下の実をもてあそぶ。
「ム、サシ、ムサシっ、あっ、あああ、あ……っ!」
ヒル魔の身体が痙攣を始める。絶頂が近い。
「イキそ……、あ……も……っ」
きゅ、とふたつの実があがってきたのを感じて、ムサシは尿道あたりをきつく圧迫した。
「もうちょっと、待て」
ふき出そうとするものを押し戻すように、きつく握ったまま下方向へ佩き降ろす。
むりやりせき止められて、ヒル魔は身悶えた。
それでも、なんとか射精をこらえたようだ。
「一緒、に……。な、ヒル魔」
「あ……あ」
ガクガクと身体を震わせ、あいづちだか喘ぎだかわからない声を漏らす。
ムサシは腰の動きを再開した。下から激しく突き上げる。
「あっ、あっ! あ……っ」
一気に絶頂を目指して、なおも動きを速める。ヒル魔の喉から高く悲鳴があがる。
「ああっ、あっ! スゴ……い……っ!」
再び、ヒル魔自身に手を伸ばす。くびれたあたりを指でこすると、ヒル魔の身体が、間歇的に跳ね上がった。
今のヒル魔はほとんどムサシのエコーのようだった。まとまった思考はできず、いいか? と問えば、いいと答え、行きそうか? と問えば、イクと答える。
「ム……サシ、ムサシ……っ」
ヒル魔の呼び声に哀願がまざる。限界なのだろう。すでに一度イクのを阻まれている。
「イキたいか?」
ヒル魔は何度も首を縦に振る。
「イ、 キたい……っ。も、イカせ……っ」
「ああ」
に、と笑みを浮かべて、ムサシは上下の動きに加えて、ポイントに当たるよう、腰をグラインドさせる。
「あっ! もう、ダメっ! ホントにダメ、だ……っ」
許可を求めるように、ヒル魔が振り返る。
金の糸のような髪がはりついた額からは、いく筋もの汗。上気しきった頬。目じりから涙。唇が唾液で光っている。
はあはあと息を継ぐ口から、あ、あ、と声を漏れている。
いいぞ、と答える代わりに、ムサシは強く腰を打ちつけた。
「イ……っ」
ヒル魔が歯を食いしばって、大きくのけぞる。
がくっ、がくっ、と、バネ仕掛けの人形のように、四肢が揺れた。
そして。
ふたり同時に達した。
快楽がしたたるような、忘我の叫び。
それが途中でぷつりと途絶え、ヒル魔の身体が崩れた。
あわてたのはムサシである。とはいえ咄嗟に射精はとまらない。
うめき声を上げながら最後まで中で出し切ってから、あわてて身体を抱き起こす。
意識を失ってもなお、ヒル魔の弛緩した身体はピクピクと痙攣し、同時に先端から白濁した液を吐き出しつづけていた。
「う……ん」
「気がついたか」
「……」
「初めてだな。気をやって失神なんて」
「……しつこかったからだ」
そう答える声がかすれている。
ムサシは少々後悔した。
「ヒル魔。あれ、持ってかえるか?」
せめてもの詫びのつもりで言ったのだが。
「! イラネーよ! 馬鹿野郎!」
しゃがれ声で叫んで、ヒル魔はプイと背中を向けてしまった。
「あ、すまん……」
謝るが、もうこちらを見もしない。本気で臍を曲げてしまったようだ。
これで、しばらくはお預けだろう。
当分、今夜のことをおかずにひとりで慰めることになりそうだった。
了
ムサシさんのテクニックはもうティーンじゃないよな……;;
てか、長い。もっとけずれると思いますが、じゃあどこを削るかって、全部性描写だしなぁ。
だんだんナニを書きたかったか分からなくなってしまって。え〜……たぶん(たぶんかい!)器具をはめて悶えるヒル魔さんと、気を失ってもイキ続けるヒル魔さんがエロくていいな、とか。そんなところだったと……思いまふ。