気が付けば。
全身をムサシにあずけていた。肩口に乗せた頭を少し動すと、至近距離で視線がかちあう。
満足そうなツラしやがって……。けれど、熱を帯びた瞳が、いつもとは違う。内心の欲望を映し出している。
その顔が近づいてきて、軽いキスをした。
「ヒル魔。俺も限界だ……」
だから、さっきから入れろって言ってんだろ。
そう思うが口には出さず、視線で促す。己の腰にあたる、屹立したものの存在は、とうに気付いていた。
ムサシの動作にあわせて、軽く腰を浮かせる。ついでのように見たムサシのそこは、下腹につきそうなほど反り返っていた。いつのまにか、コンドームがかぶせられている。ムサシはさらにその上からローションを塗りつけると、ヒル魔の後ろにあてがい、ゆっくりと腰を沈めてきた。
ムサシの太い指3本を受け入れたあとなので、さほど圧迫感は感じないが、やはり指とはわけが違う。
「は……」
ヒル魔が息を吐くと、もうちょっとだから、とすまなそうな声が聞こえた。ムサシのほうは見ずに、頷き返す。
「キツ……」
小さな、ごくごく小さな独り言だったが、ヒル魔の耳はそのつぶやきをひろってしまった。
ムサシが押し広げてくる感覚を逃すまいとしていたヒル魔は、見透かされたようで頬が熱くなった。
「……っ」
さきほどまでさんざん指で刺激されたあたりを、ムサシの先端が通過する。
さらに奥へと進んでいく。
本来、一方通行のはずのそこに進入されて、喉もとまでいっぱいになってしまったような気持ちになった。
背中で、ムサシが息をついた。
「……ぜんぶ入ったか?」
息苦しい気がしたが、気のせいだとふりはらい、ヒル魔は口を開く。
「ん、ああ」
ふ、と振り返ってみたムサシは、軽く眉をひそめて目を閉じていた。
ヒル魔の問いに一瞬だけ視線を上げるが、すぐに伏せて、歯を食いしばっている。
「キツいのか?」
少しだけ心配になり、ヒル魔はそっと深呼吸した。
とたん、ムサシは制止するようにヒル魔の太ももをつかんでくる。
「なんだよ」
「動くな……イっちまう」
食いしばった歯の間から、そう苦しげな声が聞こえたとたん、ヒル魔の唇がつりあがった。
ヒル魔は両足に力をいれて、腰を浮かせる。ずるり、とムサシのものが抜けていく感覚。
ムサシがあわてたようにヒル魔の腰をつかむ。と同時に、体重をかけて、また沈める。
「待て! 待てって、ヒル魔……!」
ムサシの制止は及ばなかった。
動いた拍子にちょうどイイところにあたって、ヒル魔はビクリと身体を震わせた。と同時に内部が締まる。
「うっ……」
痛みさえ感じるようなきつい締め付け。こらえきれず、低く唸りながら、ムサシは達した。
ムサシがびくびくと脈打っているのを感じて、ヒル魔は小さく喘いだ。
「……たく」
やがて背後から、大きな吐息とともに、あきれたようなつぶやき。
まだ、ものほしげに絞るような動きをしている己の内部をあえて無視して、ヒル魔は、クク……と笑った。
短くてスマン、ムサシ。ベッドでもいたずらっこなヒル魔さんにしてやられました。いっぺんは主導権取らないと気がすまない人だ。でもあと1回あるから! あ、次ラストです。